運動がしたくてもできない状態になった方の参考になればと思い、この記事を書きます。
※ご自身が利用される場合は、かかりつけ医へのご相談をお勧めします。
私の体の状況
2022年5月、12月に私は気胸を経験しました。(当時34歳)
2度とも左肺のブラ(肺の薄くなった箇所)が破れてしまったことによります。
1度目は自然治癒、2度目は施術を行いました。
気胸は胸腔内の空気がたまって肺が圧迫されます。胸腔内にたまった空気を取り除くために、胸腔ドレナージという方法が用いられますが、気胸が再発する場合があります。
私はまさに再発しやすい体質であると診断されてしまい、2回目の治療の際に、手術で肺の穴を閉じるのに加えて左肺に胸膜癒着術を施されました。(普通はしません)
胸膜癒着術は、胸腔ドレナージによって胸腔内に伸びるチューブを介して胸腔内に薬剤を投入し、その薬剤の反応によって肺を癒着による固定をする治療法です。肺を固定することで、気胸が再発して胸腔内に空気が流入してしまったとしても、肺が潰れてしまうのを制限することができます。
薬剤を投入すると、胸腔内に炎症が生じるため、呼吸が苦しい状態がしばらく続きます。
※私の場合は1か月ほど不調が続いておりました。
また、炎症が収まったとしても癒着による肺の収縮の制限が生じてしまっているため心肺機能への影響が明らかに発生します。
気胸によって運動に対する抵抗感に加えて、このようにパフォーマンスが衰えていることで
運動ができない日々が続きます。
実際、入院時の寝たきりに加えてこの状態での安静が続いたため12月~1月にかけては歩くこともおぼつかない状態でした。
これでは、寝たきり高齢者と同様にサルコペニア・フレイルのような状態になってしまうと恐怖心がありました。
ここで、私はEMSの活用をすることで筋力の維持を図りました。
EMSの利用について
骨格筋電気刺激・EMSは電気によって筋肉を動かす技術ですが(詳しくはこのページ)、速筋を鍛えやすいという特徴以外に、心肺機能に対する負荷が少ないことがあります。
※参考:骨格筋電気刺激の実施頻度の違いが下肢の筋力トレーニングに与える影響
なので、下半身をEMSでしっかり鍛えることをしました。
使用アイテム
SIXPAD Foot Fit
SIXPAD Powersuit Hip&Leg Ladies
SIXPAD Powersuit Core Belt
使用時
SIXPAD Powersuitシリーズは、装着しながら動くことによるハイブリッドトレーニングを推奨していますが、私は着たまま寝た状態で使用しました。
使用しながら、酸素飽和度・心拍数を計測していましたが、特段大きな影響は受けていませんでした。
感覚としても呼吸が苦しくなるようなことはなく、しっかりと筋肉を刺激できているように思います。
また、Foot Fitも座位姿勢で使えるのでストレスなく利用することができました。
結果
体感としてになりますが、EMSのレベルをしっかりと上げて、筋肉の疲労を感じるレベルで利用したことで、トレーニング効果(筋力の維持・回復)につながった実感があります。
はじめはふらふらしていた歩行も安定するようになりました。
なので、私のような状況にある方でもし運動による回復を望む方はEMSという選択肢を考えてもよいかと思われます。
※かかりつけのお医者様とはよくご相談ください。
参考論文での評価
以下の論文でも呼吸器系疾患患者に対するEMSでの介入による効果検証を記載しています。
【はじめに,目的】
呼吸リハビリテーションにおける下肢の筋力トレーニングのエビデンスレベルは最も高いGrade Aに位置づけられている。しかし,呼吸器疾患患者では呼吸困難感などにより筋力トレーニングに必要な高強度負荷をかけられないという問題がある。そこで近年,骨格筋電気刺激(以下,EMS)が注目されている。これまでにEMSの生理学的効果に着目した先行研究は散見されるが,その効果が現れる実施頻度に関する報告は少ない。そこで本研究では,EMSの異なる実施頻度が下肢の筋厚,筋力,運動耐容能に与える効果を検証し,その効果の差を比較検証することを目的とした。
【結論】
6週間のEMSの実施により週3群では筋厚,膝伸展筋力に有意な増加が認められ,その変化量は週5群と比較しても統計学的に有意な差は認めなかった。このことから,EMSは週3日という実施頻度でも十分に下肢の筋力トレーニングとしての効果が得られることが示唆された。
骨格筋電気刺激の実施頻度の違いが下肢の筋力トレーニングに与える影響(小泉 美緒, 奥村 将之, 玉木 彰)