近年、企業の戦略を読み解く手法として、商標出願の分析が注目を集めています。
今回は、美容機器ブランドとして知られるReFaの最新の商標出願に焦点を当て、同社の新規事業の可能性について考察します。
ヘアケアを中心に業績を再度伸ばし始めた美容ブランドのReFaですが、今年の5月末に新しい商標が出願されていました。
ReFaといえば、美顔ローラーや美容機器で有名なブランドですが、最近の商標出願において、衣類の区分が含まれていることが明らかになりました。
特に注目すべきは、ヨガウェアやバスローブといった具体的な商品名が指定されている点です。
このことから、ReFaが美容機器メーカーの枠を超えて、ウェルネス関連の衣料品市場に参入する可能性が高いと考えられます。(ReFaを展開するMTG社はSIXPADでリカバリーウェア事業も開始済)
では、なぜReFaが衣料品市場に目を向けているのでしょうか。その背景には、以下のような要因が考えられます。
ウェルネス市場の拡大
コロナ以降も健康志向の高まりにより、ヨガやホームスパなどのウェルネス関連市場が急成長しています。ReFaの既存の顧客層と親和性が高いこの市場への参入は、自然な流れと言えます。
ブランド価値の拡張
美容機器で培ったブランドイメージを活かし、「美容」をテーマにした衣料品ラインを展開することで、ブランド価値をさらに高める狙いがあると考えられます。
顧客体験の総合化
シャワーやヘアケア、飲料等の美容機器以外の商品も拡充されており、これらに加えて衣料品を組み合わせることで、顧客に対してより包括的な美容・健康ソリューションを提供を目指していると考えられます。
新たな収益源の確保
MTG社の事業は国内市場が中心となっており、美容機器市場や美容シャワー・ヘアケアの市場も類似する商品の飽和によってシェア争いが厳しい状況にあります。大きく業績を伸ばすためには、新たな収益源を確保する必要性が高まっていると推測されます。
事業領域を拡大し続けているReFaの成長戦略として、すでに多くの既存顧客へのクロスセルと、事業領域の拡大による新規ユーザーの獲得の両軸による事業拡大が考えられます。
さらに、美容機器と衣料品を組み合わせた新しい美容体験の提案も可能になりそうです。
例えば、ReFaの美顔ローラーと、肌に優しい素材で作られたヨガウェアを組み合わせた「美容ヨガ」プログラムなど、独自の価値提案ができるかもしれません。
また、自社のヘルスケアおよびフィットネスブランドであるSIXPADの自社内コラボといった見せ方も期待されます。
一方で、課題も存在します。衣料品市場自体もすでに競争が激しく、すでに多くのブランドが確固たる地位を築いています。ReFaが差別化を図り、市場で成功を収めるためには、独自の技術や機能性を活かした商品開発が不可欠となるでしょう。
既にSIXPADでのウェア事業に関する知見やノウハウも得始めているかと思いますが、事業拡大にあたっては、生産体制の構築や品質管理などの向上が求めあれるかもしれません。
これらの課題を克服するために、既存の衣料品メーカーとの協業や、専門人材の獲得なども必要となるでしょう。→SIXPADを中心とするようですが、求人も出ていました。https://hrmos.co/pages/mtg/jobs/SBDD-29-02-240625
あくまで筆者の予想にはなりますが、商標を起点として新規事業の予想をしてみました。
商標出願の分析は、企業の未来の動きを予測する上で重要なツールの一つです。今回のReFaの事例のように、企業の新規事業の可能性を探る上で、商標情報は貴重な手がかりとなります。
今後も、各企業の商標出願動向に注目することで、業界のトレンドや各社の戦略を読み解いてみたいと思います。