2022年10月18日、シューズブランドのスケッチャーズ(SKECHERS)を運営するスケッチャーズUSA(SKECHERS USA INC.)は、「エルメス(HERMES)」のスニーカーがスケッチャーズ保有の2件のデザイン特許を侵害しているとして、損害賠償などを求めてエルメス インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL)およびエルメス オブ パリ インク(HERMES OF PARIS INC.)を提訴した。
訴状によると、エルメスが侵害したのはスケッチャーズの“マッサージ フィット(Massage Fit)”ソールに関するデザイン特許2件(詳細は下記参照)。
今年初めに「エルメス」が発売したスニーカー“エクレア(Eclair)”と“アンヴォル(Envol)”のミッドソールおよびアンダーソールのデザイン要素が、「スケッチャーズ」の“ゴー・ウォーク(Go Walk)”シリーズなどに使用されている“マッサージフィット”のデザイン特許を侵害していると主張する。
アンヴォル(Envol)
引用元:本件訴状
エクレア(Eclair)
引用元:本件訴状
訴訟情報
CASE No.:1:22-cv-08862
管轄地:Southern District of New York
提訴日:2022年10月18日
https://insight.rpxcorp.com/litigation/nysdce-587944-skechers-v-hermes-international
スケッチャーズが保有している特許(デザイン特許)※日本でいう所の意匠権
今回使用されたデザイン特許は、部分意匠というものであり、実線部が権利の対象となります。
点線部はあくまで参考情報として取り扱いますので、ソールの波状形状が本件特許の重要なポイントになりえます。
※知的財産は、各国で独立したものであり、本件訴訟に関しては米国における権利を活用したため、米国内での案件になります。
スケッチャーズのデザイン特許とエルメスのシューズの比較(訴状に記載)
エクレア対”263”デザイン特許
エクレア対”183”デザイン特許
スケッチャーズのコメント
スケッチャーズはプレスリリースの中で、
「エルメス の様な名声と地位を誇る会社が、Skechers のデザイン特許をコピーして侵害することを選択したことは残念です. Skechers は常に法廷よりも市場で競争することを好みますが、競合他社が私たちの権利をあからさまに踏みにじる場合、会社は法的な手段を求めるしかありません。」
とコメントしています。
結末(20236月23日更新)
2023年4月26日付で和解したと報じられています。
和解内容は秘密となっており、両社からも特段コメントはありません。
エルメス側の当該商品については、公式サイトからは下げられている模様。