シックスパッドでは最近、導電性の繊維を使った商品を多数展開しています。
この導電性繊維の電極のことをエレダインと呼んでおります。
このページでは、エレダインについて、特許の観点から調べてみたいと思います。
SIXPAD シックスパッドの電極「エレダイン」
エレダインの特徴としては、
・安定性
・安全性
・耐久性
の3つが挙げられています。
しかし、具体的な効能や材料の特徴については書かれていないので、詳細が不明ですね。
■ 水で通電を可能にした「Powersuit」シリーズ従来のEMSモデルに必要だったジェルシートを使わずに、水のみで通電を可能にしたSIXPAD Powersuitシリーズ。昨年満を持して登場した、腹筋用の「SIXPAD Powersuit Abs」と、ヒップと太もも用の 「SIXPAD Powersuit Hip&Leg」は、発売わずか3週間で一時欠品となるほど大きな反響が寄せられました。
ジェルシートの代わりに新たに搭載した、独自の布製電極「エレダイン(Eledyne)」は、古来の染色技法を応用し、特殊加工によって繊維を導電性繊維に仕上げた、革新的な電極です。ジェルシートや金属を一切使用しない電極のため、使用後は自宅の洗濯機で洗濯が可能。どんなに汗をかいても、いつでも清潔な状態をキープすることができます。
身体にぴたっと密着するフィット感や軽さ、身体の動きに沿ってしなやかに動く伸縮性を追求することで、身に着けたときからトレーニングまで、快適にサポートします。
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SIXPAD Powersuitの特許出願
【公開番号】特開2022-190505
【公開日】令和4年12月26日(2022.12.26)
【発明の名称】電気刺激フィットネスウェア
【出願日】令和3年6月14日(2021.6.14)
【出願人】株式会社 MTG
【0065】
図7は、衣服部、電極、電気ケーブルの配置および構造を示す部分拡大図である。上半身用衣服部120および下半身用衣服部122は、それぞれの少なくとも一部が、表地34と裏地35が重ねられた複層構造を有する。裏地35の所定部位に、導電性高分子生地31で少なくとも外表面が形成された電極部30が設けられる。複数の電極部30は、複数の対象身体部位に電気刺激を与えるために複数の対象身体部位のそれぞれに近接し得るよう複数の対象身体部位のそれぞれに対向する位置に設けられる。電極部30は、上半身用衣服部120および下半身用衣服部122の裏地35における着用者の肌に対向する側に設けられたパッド部材32と、そのパッド部材32を覆う導電性高分子生地31とを含んで構成される。パッド部材32は、例えば直方体の発泡ゴムで形成され、このパッド部材32によって電極部30の全体形状である凸形状を形作る。導電性高分子生地31は、例えば絹等の繊維またはナイロン等の合成繊維にPEDOT-pTS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-p-トルエンスルホン酸)やPEDOT-PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリスチレンスルホン酸)等の導電性高分子を付着および含浸させて形成される導電性繊維で編んだ生地である。導電性高分子生地31は、素材に金属を用いない分、洗濯耐久性も高い。特に、銀等の金属を付着または含有させた導電性繊維を用いる場合、酸化、腐食による導電性の低下やユーザーの体質によっては金属アレルギーを招くおそれがあるが、導電性高分子生地31にはそれらの心配がない。また、金属を付着させた導電性繊維を用いる場合、摩擦による剥離で導電性が低下するおそれがあるが、導電性高分子生地31にはその心配がない。パッド部材32を覆う導電性高分子生地31は、その周縁部が解れ防止のためのメローロック等の端部縫製処理が施された上で、図に示す電極縫製部40において裏地35に縫い付けられる。導電性高分子生地31で電極を構成することにより、従来の筋電気刺激装置の電極のようにジェルパッドを貼付することなく電極間に通電することができる。また、スプレー等で電極を濡らして軽く保水させれば、まだ汗をかいていない運動開始時であっても、さらに電極間の通電状態を安定させることができる。なお、導電性高分子生地31の繊維を起毛させることにより、導電性をさらに安定させてもよい。
Powersuit Absの特許出願
【公開番号】特開2023-161844
【公開日】令和5年11月8日(2023.11.8)
【発明の名称】電気刺激装置
【出願日】令和4年4月26日(2022.4.26)
【出願人】株式会社 MTG
【0031】
導電布126は、その外縁が全周にわたって装着具102に縫い付けられる。導電布126は、導電性を有する。導電布126は、特に限定されないが本実施の形態では、布132と、布132の一方側の表面に形成された導電層134と、を含む。
【0032】
布132は、絹等の繊維またはナイロン等の合成繊維で編んだものであってもよい。
【0033】
導電層134は、導電材料の層である。導電材料は、特に限定されないが、導電性高分子であってもよい。導電性高分子は、PEDOT-pTS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-p-トルエンスルホン酸)やPEDOT-PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリスチレンスルホン酸)等であってもよい。この場合、導電層134は、素材に金属を含まないため、洗濯耐久性が高い。また、酸化、腐食による導電性の低下の心配がない。また、金属アレルギーを招くおそれもない。また、摩擦で金属が剥離することによる導電性の低下のおそれもない。なお、導電層134は、銀や銅などの金属を含んでいてもよい。
【0034】
導電布126は、導電材料を付着または含浸させて形成される導電性繊維で編んだ布であってもよい。
【0035】
導電布126で電極を構成することにより、従来の筋電気刺激装置の電極のようにジェルパッドを貼付することなく一対の電極部106間に通電することができる。
調査結果
エレダインに使用されている導電性材料はPEDOT-pTS、PEDOT-PSSというものを使用している模様です。
高分子(樹脂系の材料)であるかことから、効果としては次の三つが挙げられます。
・洗濯耐久性が高い
・酸化、腐食による導電性の低下の心配がない
・金属アレルギーの心配がない
更にPEDOT-pTS、PEDOT-PSSを調べると、東北大学の鳥光 慶一先生が出てきます。
先生の研究室では、導電性高分子電極の研究開発をしている様です。
この研究の社会実装のために大学発ベンチャーの活用もしているようですが、下記の資料で出ているエーアイシルク社がSIXPADを手掛けるMTG社と連携している様です。
2023年5月16日 日経 東北大発新興のエーアイシルク、3億円の資金調達
エーアイシルクは、「リードスキン」と呼ばれる高い導電性の繊維素材を開発しており、既にトレーニング機器を手掛けるMTGの製品などに採用されている。
出典:https://irides.tohoku.ac.jp/organization/torimitsu_keiichi.html
まとめ
SIXPADで使用されているエレダインの正体は、エーアイシルク社が提供しているリードスキンをベースとした、PEDOT-pTSを活用した導電性高分子である可能性が高いです。
この材料を使うことで、従来の金属材料での電極では得られないような安定性・安全性・耐久性を得ることができたと考えられます。
こういった、最先端の材料を使って商品開発をしているところも含めて、SIXPADの先進性が伺えそうです。
EMS機器の使用の手間は、この材料の登場で各段に使いやすいものになってきています。
SIXPADでもまだ、水を含ませて使う仕様になっていますが、将来的には、水を使うことも不要になるかもしれませんね。
引き続き、ウォッチしていきたいと思います。